
西暦2308年。
人類史上初のタイムマシーンが日本で発明された。
西暦2000年頃に起こった環境問題も科学の力で解決しており、2300年代は大きな戦争や出来事もなく、面白みも刺激的な事も無い時代だった。
そんな中でのタイムマシーンの発明である。宇宙旅行があたりまえの時代に人々の注目が集まったのは言うまでもなかった。
その年の10月、5人の飛行士が乗り込んだタイムマシーンが初めて発射された。最初の目的地は恐竜が生息していた中生代だった。
タイムマシーンは約20分のフライトで問題なく目的の時代に到着した。乗組員はタイムマシーンに積まれていた装甲車でうっそうとしたジャングルの中に降り立った。カメラを作動させながら装甲車は恐竜を求めて走り出した。
背の高い草や木々が生い茂る道なき道を進んでいくと、急に視界が開け草原が眼下に広がった。広い草原のはるか先を見ると体長が30メートルはありそうな2頭のディプロドクスが高い木の葉っぱを食べていた。
飛行士たちがそれ以上に驚いたのは左手の広場に停まっているタイムマシーンらしき機体である。数にして数10台、いや数100台は下らなかった。
それらの機体の側面には「西暦2376年7月1日発 京都市○×区第七小学校」「西暦2465年4月3日発 青森県○×市老人会ご一行様」「西暦2477年8月3日発 ○×工業株式会社様慰安旅行」などと書かれており、日本語以外にもフランス語や英語、中国語で書かれているものもあった。
駐機スペースは高い壁で囲まれており、周りは観光客と思われる人々々々・・・で大混雑し、お土産物屋さんでは恐竜のぬいぐるみやTシャツ、お饅頭などを売っていた。
その時、ロケットエンジンを背中に積んだ男性が空中から装甲車の横に下りてきた。彼は「駐機係り員」とプリントされたTシャツを着ていた。 「君ら。あんな所にタイムマシーンを停めたらアカンで。あそこは駐機禁止区域や。すぐにあの下の駐機スペースに移動してちょうだい。それから車の走行も禁止やで。環境が破壊されるやろ。それにしてもアンタら、ようあんな古いタイムマシーンで来れたもんやな。いったい何年から来たんや」 駐機係り員のおじさんは装甲車の中を覗きながら早口でまくしたてた。
「2308年から来ました」 と答えたとたん駐機係り員のおじさんは驚いた顔をして大声をあげた。 「エ〜、ホンマかいな。そんなら初代のタイムマシーンやないか。よう来たなぁ」
初代のタイムマシーンを駐機スペースへ移動した彼らの周りには人だかりがした。 カメラのフラッシュがたかれ、サインを求められた。恐竜の時代に来た彼らは恐竜を押しのけて人気を独占してしまった。
未来の観光客たちは見慣れた恐竜に飽きている様子だった。
(おわり)
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。
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